前立腺肥大症(BPH)のひろば

前立腺肥大症の診断と治療

適切な診断と治療を行うことで、前立腺肥大症による症状を改善できます。症状を軽減し、日常生活に差しつかえがないようにしていくことが治療の基本的な目的です。

前立腺肥大症の診断と国際前立腺症状スコア(IPSS)

まず問診を行い、症状の程度や経過をみます。また、身体所見・尿検査・血液検査などにより、前立腺の大きさや状態、尿路感染症や前立腺がんの有無なども調べます。
さらに詳しい検査として、排尿記録をつけたり、残尿量や尿の勢いなどを測定します。
症状の程度を知るためには、国際前立腺症状スコア(IPSS)という質問票(下表)がよく使われており、自分でチェックすることができます。点数化することで症状を自覚しやすくなります。

国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコア

(前立腺肥大症診療ガイドラインより引用)

どれくらいの割合で次のような症状がありましたか 全くない 5回に1回
の割合より
少ない
2回に1回
の割合より
少ない
2回に1回
の割合
くらい
2回に1回
の割合より
多い
ほとんど
いつも
この1か月の間に、尿をしたあとにまだ尿が残っている感じがありましたか 0 1 2 3 4 5
この1か月の間に、尿をしてから2 時間以内にもう一度しなくてはならないことがありましたか 0 1 2 3 4 5
この1か月の間に、尿をしている間に尿が何度もとぎれることがありましたか 0 1 2 3 4 5
この1か月の間に、尿を我慢するのが難しいことがありましたか 0 1 2 3 4 5
この1か月の間に、尿の勢いが弱いことがありましたか 0 1 2 3 4 5
この1か月の間に、尿をし始めるためにお腹に力を入れることがありましたか 0 1 2 3 4 5
  0回 1回 2回 3回 4回 5回以上
この1 か月の間に、夜寝てから朝起きるまでに、ふつう何回尿をするために起きましたか 0 1 2 3 4 5

IPSS 

  とても
満足
満足 ほぼ満足 なんとも
いえない
やや不満 いやだ とても
いやだ
現在の尿の状態がこのまま変わらずに続くとしたら、どう思いますか 0 1 2 3 4 5 6

QOLスコア 

IPSS重症度:軽症(0〜7点)、中等症(8〜19点)、重症(20〜35点)

QOL重症度:軽症(0、1点)、中等症(2、3、4点)、重症(5、6点)



前立腺肥大症診療ガイドライン,日本泌尿器科学会,2011年,リッチヒルメディカル,p.33,表5,©日本泌尿器科学会

IPSSでは、7つの症状について、自分の症状の頻度が当てはまるところの点数を合計します。合計点0〜7点が軽症、8〜19点が中等症、20〜35点が重症です。QOLスコアは、0、1点が軽症、2〜4点が中等症、5、6点が重症です。IPSSと合わせてQOLスコアを調べることで前立腺肥大症の症状がどのくらい生活に支障を来しているかを把握することができます。

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前立腺肥大症の治療

主な治療方法には、薬物療法・手術療法・保存療法の3つがあります。

薬物療法
α1受容体遮断薬(α1ブロッカー薬)

α1受容体は、前立腺や尿道に多く存在し、筋肉の収縮に関係しています。ここに働きかけることで、筋肉の緊張をゆるめて尿を出しやすくします。

5α還元酵素阻害薬

男性ホルモン(アンドロゲン)のひとつであるテストステロンはより活性の高いジヒドロテストステロンに変換され、前立腺を肥大させるといわれています。5α還元酵素阻害薬は、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素の働きをじゃまして前立腺の肥大化を抑え、前立腺を縮小します。

抗男性ホルモン薬

男性ホルモンに作用し、テストステロンの生成を抑えて前立腺を縮小する作用があります。

これらのほかに、漢方薬や植物エキス製剤なども用いられます。
また、日本では発売されていませんが、海外ではα1遮断薬のほかにも前立腺の緊張をゆるめて尿排出を改善する薬が使われており、前立腺肥大症に対する効果が報告されています。
手術療法
薬物療法で効果不十分な場合、症状が重い場合、薬物療法ができない合併症がある場合には手術を行うことがあります。標準的な手術としては、内視鏡と電気メスを用いた経尿道的前立腺切除術(TURP)があります。前立腺が非常に大きい場合には開放手術を行う場合もあります。そのほか、レーザーによる組織の切除、マイクロ波による温熱療法なども行われています。
保存療法
生活指導、経過観察、健康食品などがあります。

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