アルベカシン吸入液剤ME1100の米国臨床第Ⅰ相試験開始とPARI社吸入装置eFlow®に関するライセンス契約締結のお知らせ

2013年07月26日 プレスリリース

Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:松尾正彦、以下Meiji)は、院内感染肺炎/人工呼吸器関連肺炎の治療薬としてアルベカシン吸入液剤(開発番号:ME1100)の臨床第Ⅰ相試験を米国において開始しましたのでお知らせします。

ME1100は、アミノグリコシド系抗生物質であるアルベカシンを吸入用に最適化した製剤であり、非臨床試験において、MRSAのみならず、重症肺炎の主な原因菌である肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター等の耐性菌に殺菌的な作用を発揮することが確認されています。吸入装置を用いることによって感染部位である下気道の薬物濃度を高め、優れた抗菌効果と高い有効性を示し、かつ全身性の副作用を低減することが期待されます。今回の臨床試験では、健常成人を対象に、ME1100を単回、吸入投与したときの安全性、忍容性および薬物動態を確認することを目的としています。
なお、アルベカシンの注射剤である「ハベカシン注射液®」は1990年に日本で承認され、以来メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による肺炎および敗血症の治療薬として販売されています。

また、MeijiとPARI Pharma社(ドイツ・シュタルンベルク、以下PARI社)は、PARI社が開発した吸入装置(eFlow®)を応用するアルベカシン専用吸入装置に関して、全世界における独占的なライセンス契約を締結しました。Meijiは、PARI社からアルベカシン専用吸入装置のライセンス許諾を受けてME1100を開発、販売し、その対価として、一時金および販売額に応じた実施料をPARI社に支払います。

以上

参考

院内感染肺炎/人工呼吸器関連肺炎(Hospital Acquired Bacterial Pneumonia: HABP /Ventilator Associated Bacterial Pneumonia: VABP)について

院内感染肺炎(HABP)は「入院後、48時間以降に発症した肺炎」と定義されており、院内感染では、血流関連感染に次いで罹患数が多く、死亡率の高い疾患です。特に人工呼吸器関連肺炎(VABP)は、病院内で人工呼吸器を装着したことによって新たに罹患した肺炎であり、集中治療室(ICU)において人工呼吸器装着患者がVABPに罹患した場合、死亡率は非罹患患者と比べて有意に高くなり、生命を脅かす重篤な疾患です。主な原因菌としてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、肺炎桿菌、アシネトバクターなどが挙げられます。

eFlow®テクノロジーとPARI Pharma社について

ME1100は、PARI Pharma社が開発した吸入装置eFlow®を応用したアルベカシン専用吸入装置を用いて投与されます。eFlow®テクノロジーは多孔メンブレンを振動させることにより、粒径の小さいエアロゾルを規定通り正確に発生させる技術です。eFlow®テクノロジーを応用した吸入装置により、人工呼吸器装着の患者であっても、十分量の薬物を下気道に到達させることが可能となります。PARI Pharma社は吸入治療の発展のために、吸入装置と吸入用製剤の開発に注力しています。