散布技術の進化とオリゼメート 機械化の進展とともに

機械化の進展とともにオリゼメートを取り巻く環境も進化をしてまいりました。このコンテンツでは、その機械化の変遷とオリゼメート散布技術の進展、水稲作における農薬と散布機の現状と展望、そして有人ヘリコプターやラジコンヘリコプターを活用した空中散布をテーマにした内容をご紹介します。

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
基礎技術研究部 部長 宮原 佳彦

はじめに

今日の我が国の農業を取り巻く状況は、世界的には、グローバル化する経済の下での貿易自由化の大きな流れの中にあり、その一方で、国内的には農業従事者の高齢化と担い手不足の深刻化、低迷する食料自給率、耕作放棄地の拡大など、多くの問題に直面している。このような状況の中で、農業生産現場では、生き残りをかけて、経営規模の拡大や合理化を進め、生産性の向上・強化とともに、コスト削減を進め、国際競争力を持ちつつ、持続可能な農業への転換が進められている。

特に、我が国の農業の中核を成す「水稲作」の生産現場においては、経営規模の拡大に伴い、ほ場の集積や大区画化が進められる中、それに対応した農作業の効率化、高速化、省力化が求められており、そこでは、より大型で、高能率、高性能な農業機械・装置の利用が拡大している。しかし、その反面、新たな機械や装置、あるいは、資材にかかるコストの削減が一層必要となっている。

ここで、今回の主旨である「オリゼメート剤のあゆみ」の視点に立つと、水稲作の農薬散布作業は、オリゼメート剤に代表されるように、新たな薬剤の開発により、昭和の時代から今日、すなわち、平成の時代に至る間に、防除作業は、飛躍的に省力化、高能率化されてきたと言える。さらに、農薬をほ場において実際に散布する作業に使用される農薬散布機から見ると、それら新たな薬剤を散布する作業を合理的に成立させるために、薬剤の特徴を踏まえて開発、改良が重ねられ、進歩しながら、現場へ普及してきたとも言える。これは、例えば、従来の背負い動力散布機による粉剤や粒剤散布作業のように、作業者が歩行しながら本田への農薬散布を行う方法が主体であった時代から、今日の、無人ヘリ散布、乗用田植機による田植え同時処理、あるいは、本田内散布作業を省略できる育苗箱施用技術などへの変化がそのような変遷の一例と考えられる1-3)

そこで、今回は、「オリゼメート剤のあゆみ」に関連して、我が国における水稲作における農薬散布機の状況および近年普及が進む機種・装置の概要を紹介し、今後の展開について考える資料とした。

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