散布技術の進化とオリゼメート 機械化の進展とともに

機械化の進展とともにオリゼメートを取り巻く環境も進化をしてまいりました。このコンテンツでは、その機械化の変遷とオリゼメート散布技術の進展、水稲作における農薬と散布機の現状と展望、そして有人ヘリコプターやラジコンヘリコプターを活用した空中散布をテーマにした内容をご紹介します。

3.農薬散布作業と剤型

水稲作における農薬散布作業は、概ね、(1)育苗前の種子消毒、(2)田植え後の雑草管理、(3)生育中の病害虫防除等を目的としている。ここで、本田内への農薬散布作業に限定すると、(2)雑草管理と(3)病害虫防除の2つが該当する。

水稲作における「雑草管理」は、田植え後の本田内の雑草発生を抑制する「除草剤」を散布する作業が主体である。現在、利用可能な水稲用除草剤には、液剤、粒剤、フロアブル剤およびジャンボ剤といった剤型の薬剤が各種市販されている。ここで、現在最も普及しているのは「粒剤」であり、フロアブル剤およびジャンボ剤がそれに次いでいると考えられる4)。また、「病害虫防除」は、本田内で生育中の水稲の病気や害虫の発生を防止あるいは抑制することであり、現状では、「殺菌剤」や「殺虫剤」等を散布する作業が主体である。ここで、水稲用の殺菌剤や殺虫剤の多くは、それぞれの主たる薬剤成分を含有する粉剤、粒剤および液剤の異なる剤型が実用化されている事が多く、それぞれの生産現場において、対象となる病害虫防除に必要とされる薬剤成分と、散布作業をする上で最も適した剤型(と同時に、その剤型に適応した散布機)が選択されている。

粒剤は、1粒0.3〜1.7mm程度の粒状の薬剤で、10a当たり1kg、または、3kgの散布量で散布される薬剤が主流であり、それぞれ、1キロ剤、3キロ剤と呼ばれている。粒剤は、水稲用の農薬としては、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、あるいは、殺虫殺菌剤など様々なタイプの薬剤の剤型となっている。

フロアブル剤は、化学成分を含んだ微細粒子を水に分散させた製剤で、特に、水稲用の除草剤として多くの種類がある。フロアブル剤の除草剤は、水田内の田面水に対して、所定の量を滴下する方法で散布するタイプが多く、最も簡易な方法としては、水田畦畔あるいは水田内を作業者が薬剤のボトルを持って歩行しながら、適度な回数、田面水に直接ボトルから滴下する方法、あるいは、手に持ったボトル毎振りながら薬液を振り撒く方法、すなわち、手振り散布等の方法である。その散布量は、10aに対して500mL(ボトル1本)程度であり、薬剤成分が田面水に拡散して機能を発揮する。フロアブル剤は、殺菌剤、殺虫剤、殺虫殺菌剤にも採用されている剤型であるが、その場合は、作物体へ薬液を付着する必要がある事から、後述の液剤と同じく、清水で所定の濃度に希釈して調製した薬液を動力噴霧機と各種のノズルを用いて噴霧する方法で散布される。

ジャンボ剤は、湛水中の水田内に、面積当たり所定個数の薬包(あるいは錠剤)を投げ入れることにより、薬包が田面水中で崩壊し、薬剤成分が水中に拡散して機能を発揮する製剤であり、10aに対して20個程度を投入するタイプが多い。ジャンボ剤は、水稲用の除草剤に多くの種類が実用化されているが、殺菌剤、殺虫剤にも一部採用されている。

液剤は、一般に、清水で所定の濃度に希釈し、動力噴霧機とノズル等を用いて、適正な散布水量(10a当たり、数十〜100L程度)で散布される。なお、無人ヘリに搭載した液剤散布装置により、液剤散布する事も広く普及しているが、これは、無人ヘリでの散布に登録のある薬剤を使用する必要があり、また、清水による希釈倍率や散布量が通常の地上散布(いわゆる、多量散布)とは異なり、10a当たり0.8L程度(希釈倍率は数〜数十倍程度)の濃厚少量散布である。

粉剤(DL粉剤)は、主に、水稲用の殺菌剤、殺虫剤、殺虫殺菌剤に採用されている剤型である。粉剤は、粒径20~30μm程度の微細な薬剤粒子からなる製剤であり、粒剤と同じく、背負い式動力散布機を用いて散布される。我が国の比較的規模の小さい中山間地域の水田では、現在も粉剤が病害虫防除のために利用されている。

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