散布技術の進化とオリゼメート 機械化の進展とともに

機械化の進展とともにオリゼメートを取り巻く環境も進化をしてまいりました。このコンテンツでは、その機械化の変遷とオリゼメート散布技術の進展、水稲作における農薬と散布機の現状と展望、そして有人ヘリコプターやラジコンヘリコプターを活用した空中散布をテーマにした内容をご紹介します。

おわりに

農作物の農薬残留基準におけるポジティブリスト制度施行の前後においては、農薬散布技術に関する最も重要な課題は、散布作業時におけるドリフトに起因する残留基準値の超過およびこれによる生産現場への危被害発生の懸念であった。幸いにも、これまで、生産現場が大きく混乱し、経済的被害が拡大するような事態は避けられてきている。この事は、生産者ならびに防除関係各方面の多大なる努力によるものと考えられ、散布機開発に関わってきた者として、当方からもこれまで尽力された方々に深く敬意を表す次第である。そして、特に、粒剤に関しては、ドリフト対策上でも非常に大きな役割を果たしてきたといえる。

しかしながら、農業生産現場においては、引き続き生産活動が行われ、これに伴い、農作物生産に不可欠な資材である農薬も引き続き使用されることになる。このため、農薬の使用場面においては、適正な使用方法に基づいて、安定した効果を得ることと共に、常に作業者や生産物への安全性や環境負荷低減、さらには、ドリフト防止等への配慮が継続的に必要であることは言うまでもない。そこでは、粒剤をはじめ、様々な農薬に関して、より効果的で安全かつ省力的、あるいは、低コストな防除作業を実現するための技術革新が求められており、当然ながら、今後各方面でこれまで以上に研究開発が進められていくものと予想される。

さらに、現在顕在化しつつある地球的規模での温暖化問題や頻発する異常気象への対応という面では、今後一層多くの課題が現れてくることも予想されている。これまでの農薬や散布機、あるいは、農業技術の歴史を振り返るとき、大きな課題が存在しても、それを克服しようとする人々の不断の努力が積み重ねられてきた結果、新たな技術が開発され、課題を一つずつ乗り越えてきたことが示されている。従って、今後顕在化する課題の解決についても、農薬や農業機械の進歩に期待される部分が非常に大きいものと考えられる。今後も農薬や農業機械の開発や改良が各方面において進め続けられる限り、自ずと課題が克服され、大きな進歩と成果がもたらされるものと確信している。

引用文献

  • 1) 柳澤大介:田植え同時処理に対する市場調査結果について、植調、44(3)、pp.93-100、2010
  • 2) 竹下孝史:水稲用除草剤開発・普及状況の推移(その1)、植調、44(12)、pp.535-540、2010
  • 3) 竹下孝史:水稲用除草剤開発・普及状況の推移(その2)、植調、45(1)、pp.29-35、2011
  • 4) 大川哲生*水稲用除草剤の直接散布省力製剤の技術動向、植調、44(4)、pp.29-35、2010
  • 5) 濱村謙史朗:除草剤から見た田植同時処理および播種同時処理の最新動向、田植え省力化作業技術(特集)、技術と普及、49(2012.11)、pp.51-55、2012
  • 6) 濱村謙史朗:水稲用除草剤の田植同時処理 ―農薬ラベル表示と適切な使用方法、植調、44(3)、pp.88-91、2010
  • 7) 日本植物防疫協会:地上防除ドリフト対策マニュアル、http://www.jppa.or.jp/test/data/doriftmanual.pdf(2005)
  • 8) 日本植物防疫協会:農薬飛散対策技術マニュアル、平成21年度IPM技術評価基準策定・情報提供委託事業/
  • 周辺作物飛散影響防止対策基準策定事業報告書、http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_nouyaku/manual/index.html(2010)

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