コラム:がん治療中の顎骨壊死とは
がん治療中の顎骨壊死(がっこつえし・がくこつえし)とは
- 放射線性顎骨壊死
頭頸部(脳と目を除く首から上のすべての領域)の放射線療法後に発症し、数年経過してから発症することもあります。顎骨壊死の多くは、顎骨の中でも放射線の影響をある程度大きく受けた場所にあった歯を抜くことで起こります。したがって、抜く必要がある歯は、放射線療法が始まる前に抜いておくとよいでしょう。また、歯周炎が悪化した部位から顎骨壊死が生じることもあります。 - 薬剤関連顎骨壊死
がんの骨病変や骨粗鬆症の治療に使用される骨吸収抑制薬などを長期間使用している患者さんで、顎骨壊死が起きることがあります。抜歯がきっかけになることもありますが、歯根の周囲の炎症が原因になることも少なくありません。また、合わない入れ歯でできた歯肉の傷などから顎骨に細菌感染が生じて発症することもあります。
いずれの場合も、治療が始まる前にお口のチェックを受けて、あらかじめ必要な歯周病の治療や抜歯をしておくこと、さらに治療が始まってから、そして終わってからも定期的にお口のチェックをして変化がないかどうかを確認することが大切です。
口の中の細菌を増やしすぎないように、また、歯肉のすぐ下にある顎骨に細菌感染させないように口の中の環境を維持しておく必要があります。
参考情報
- 1) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/adr-info/manuals-for-hc-pro/0001.html
https://www.pmda.go.jp/files/000274601.pdf - 2) 松﨑秀信 他. 頭頸部癌, 2018; 44(1): 57-61