これって感染症?
急性呼吸器感染症(ARI)の症状と予防・治療の基本ガイド
咳や鼻水、発熱など、呼吸器の症状は「ただの風邪かな?」と思うことも多いもの。
よくある急性呼吸器感染症(ARI)の特徴や受診の目安などを解説します。
よくある急性呼吸器感染症(ARI)の特徴や受診の目安などを解説します。
急性呼吸器感染症(ARI)とは?

「急性呼吸器感染症(ARI)」とは、ウイルスや細菌などが原因で、鼻・のど・気管・肺などに急に起こる感染症の総称です。
代表的なものに、風邪(上気道感染症)、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎などがあります。
よく見られる症状
- せき・くしゃみ
- 鼻水・鼻づまり
- 発熱(とくに子どもは高熱になりやすい)
- のどの痛み
- 呼吸がゼーゼーする(喘鳴)
- 食欲低下・ぐったり感
特に乳幼児のお子さんでは、呼吸が苦しそうだったり、水分がとれないときは注意が必要です。
軽い風邪かな?と思っても、急に重症化する感染症が隠れていることもあるため、早期の見極めが重要です。
登園・登校はいつから?
急性呼吸器感染症(ARI)は、飛沫や接触でうつる感染症です。発症してから一定の期間は、まわりにうつしてしまう可能性があります。
登園・登校の目安としては、
- 熱が下がって元気が戻ってから24時間以上経っていること
- せきや、くしゃみが落ち着いてきたこと
がひとつの基準です。
園や学校によって規定がある場合はそれに従ってください。
また、同居する兄弟姉妹や保護者へうつることも多いため、家庭内でも必要に応じて感染対策をすることが大切です。
※会社の場合も、医師の指示を受けてから復帰するのがベストです。
いつ受診すべき?検査方法は?
受診の目安になるのは、
- 呼吸が早い・苦しそう
- 高熱が続く(38度以上が3日以上)
- 水分がとれない、元気がない
といった場合です
「大げさかな?」「もう少し様子を見ようかな」と思ったときこそ、安心するために受診する、という選択肢も大事です。
急性呼吸器感染症(ARI)は初期症状が似ていることが多く、発熱・せき・鼻水だけでは見分けがつきません。
病院では、以下のような検査が行われることがあります。
- インフルエンザ・新型コロナ・RSなどの抗原検査(鼻ぬぐい液など)
- 必要に応じて、血液検査や胸のレントゲン
主な感染対策・予防法は?

急性呼吸器感染症(ARI)の多くは、飛沫感染(せき・くしゃみ)や接触感染でうつります。感染を防ぐには、基本的な対策の励行が大切です。
基本の感染対策・予防法 手洗い・マスク飛沫感染・接触感染の予防に
換気夏や冬はエアコン使用で換気が特に不十分になりがちです。24時間換気システムや換気扇、窓を開けるなどの方法で、意識的に換気を行いましょう。
ワクチン接種インフルエンザ・新型コロナ・肺炎球菌・百日咳・RSウイルスなどは、ワクチン接種により発症や重症化のリスクを下げることができます。
年齢や家族構成にあわせて、かかりつけ医と予防接種を相談しておくと安心です。
家庭内での注意点
家族の中で誰かが感染した場合、必要に応じて部屋を分ける・食事やタオルを共用しないなど、「うつさない・うつらない」工夫が必要です。
こまめな消毒(ドアノブ、スマホ、スイッチなど)も有効です。
集団生活では お子さんが通園・通学している場合は、集団生活における感染対策の規定などを再確認しましょう。
ハイリスク者を守る心がけ 妊婦さんや高齢の家族がいる家庭では、重症化のリスクがある人を守る意識も大切です。
治療方法とご家庭でのケア

急性呼吸器感染症(ARI)の多くはウイルス性で、特効薬がない場合も多く、対症療法が基本になります。
薬を使用する場合は、医師の判断に従ってください。
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)で発熱や頭痛をおさえる
- 去たん薬・せき止めなどの対症療法
- 細菌感染が疑われる場合は抗菌薬(医師の判断が必要です)
ご家庭でのケアのポイント
- こまめな水分補給と安静が大切
- 発熱がつらいときは脇や首を冷やす
お子さんが感染した場合は、様子を見ながら無理のない範囲でサポートをしましょう。
回復後もしばらくせきが続くことはよくあります。心配な場合は再受診しましょう。
出典:厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)」より当社作成
監修医師:中野 貴司 川崎医科大学 小児科学特任教授、日本小児科学会 小児科専門医・指導医、日本感染症学会 感染症専門医・指導医、ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター