これって感染症?
中耳炎の症状と予防・治療の基本ガイド
「子どもが夜中に耳を痛がって泣き出した」「風邪のあと、なんとなく耳が聞こえにくい気がする」
…そんな不安を感じたことはありませんか?
中耳炎は、子どもから大人まで誰にでも起こる感染症ですが、特に2歳くらいまでの乳幼児に多く見られます。
放っておくと難聴の原因になったり、慢性化して手術が必要になったりすることもあるので、正しい知識を持って早めに対処することが大切です。
…そんな不安を感じたことはありませんか?
中耳炎は、子どもから大人まで誰にでも起こる感染症ですが、特に2歳くらいまでの乳幼児に多く見られます。
放っておくと難聴の原因になったり、慢性化して手術が必要になったりすることもあるので、正しい知識を持って早めに対処することが大切です。
これって中耳炎?症状チェック
中耳炎は、耳の鼓膜の奥にある「中耳(ちゅうじ)」という小部屋に、細菌やウイルスが入り込んで炎症が起きる感染症です。
鼻の奥(上咽頭)と中耳は、「耳管(じかん)」という管によってつながっています。風邪などの原因となったウイルスや細菌が、鼻や咽頭(いんとう;「のど」)からこの管を通って耳の奥へ入り込むことで炎症が起こります。そのため、副鼻腔炎(ちく膿症)やアデノイド肥大などの鼻のトラブルがある方は、中耳炎をくり返しやすい傾向にあります。
中耳炎には大きく分けて「急に痛くなるタイプ」と「水がたまって聞こえが悪くなるタイプ」があります。
急性中耳炎(急に痛くなるタイプ) 最も一般的な中耳炎で、激しい痛みや発熱を伴います。
- ズキズキする耳の痛み、発熱
- 耳だれ、耳が詰まった感じ
言葉で伝えられない小さな子どもは、以下のような行動で不調を訴えることがあります。
- 機嫌が悪く、ぐずる
- 夜 泣きがひどくなる
- しきりに耳に手をやる、首を振る
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎(痛くないタイプ) 鼓膜の奥に液体がたまってしまう病気です。痛みや熱がないため、気づくのが遅れがちです。 大人の場合も風邪の悪化や、気圧の変化などがきっかけで起こります。急性中耳炎が治りきらずに移行することもあります。
- 呼びかけても振り向かない、テレビの音を大きくする、聞き返しが多い
- 風邪の後の「耳が詰まった感じ(耳閉感)」や「聞こえにくさ」
いつ受診すべき?検査方法は?
「これくらいで病院に行ってもいいのかな?」と迷うことがあるかもしれませんが、耳のトラブルは早めの対応が大切です。
- 耳の痛みを訴えている
- 耳だれが出ている
- 「聞こえ」に違和感がある(テレビの音を上げる、呼びかけに気づきにくい)
- 黄色い鼻水が続く など
どんな検査をするの? 耳鼻咽喉科では、主に以下のような方法で耳の状態をチェックします。痛みを伴う検査はほとんどありません。
耳鏡検査(じきょうけんさ) 器具を使って耳の穴を広げ、鼓膜の赤みや腫れ、奥に水がたまっていないかを直接目で見て確認します。
ティンパノメトリー検査 圧力を変化させて鼓膜の動きやすさを調べます。鼓膜の奥に水がたまっている(滲出性中耳炎)かどうかの判断に役立ちます。
細菌検査 耳だれを採取して、どんな菌が原因かを調べて、どの薬が効くかを判断します。
主な感染対策・予防法は?
中耳炎を繰り返さないために、今日からできるポイントをご紹介します。 風邪などの感染症対策 帰宅時や食事前など、こまめな手洗いを習慣にし、風邪をひいたら早めに対処して長引かせないことが一番の予防です。 また、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種は、中耳炎の発症率を下げる助けになります。
鼻水を放置しない 鼻水の中には細菌がいっぱいです。優しく片方ずつかむ、乳幼児に対してはこまめに吸引する習慣をつけましょう。強い「鼻すすり」は耳の不調を悪化させるため避けましょう。
受動喫煙を避ける タバコの煙は、子どもの中耳炎の大きなリスク要因になります。家族の禁煙や、子どもの周りで吸わないことが重要です。
授乳の姿勢(赤ちゃんの場合) 哺乳瓶でミルクをあげる際、寝かせたまま飲ませると耳にミルクが流れ込みやすくなるため、頭を少し起こして飲ませてあげましょう。
治療方法とご家庭でのケア
まずは耳鼻咽喉科を受診し、鼓膜の状態を確認してもらうことが基本です。
痛みや発熱には解熱鎮痛薬を使用します。細菌感染が原因と考えられる場合は抗菌薬(抗生物質)を使いますが、軽症であれば様子を見る(経過観察)こともあります。
鼻水を吸い取ったり、必要に応じて鼓膜を少し切って膿を出したりすることもあります。
自然治癒と治るまでの期間
急性中耳炎の約80%は自然に回復するともいわれていますが、症状を早く抑え、難聴などの後遺症を防ぐために適切な治療が推奨されます。
治るまでの期間は、軽症なら数日から1週間程度ですが、痛みがなくなったからといって自己判断で通院をやめるのは禁物です。中途半端に治療を中断すると、菌が残って再発したり、滲出性中耳炎や慢性中耳炎へと移行したりするリスクがあります。「もう大丈夫」と医師の許可が出るまで、しっかりと治療を続けましょう。
市販薬は使える? 急な夜間の耳痛には、自宅にある解熱鎮痛薬で一時的に痛みを和らげることができますが、根本的な治療には受診が必要です。耳だれがある場合は市販の点耳薬などは控え、早めに専門医に見てもらいましょう。
気になる時は早めに受診を
中耳炎は、早めに適切な治療を始めれば決して怖い病気ではありません。
しかし、「たかが耳の痛み」と放置したり、中途半端に治療をやめたりすると、慢性中耳炎へ進展してしまうリスクもあります。
お子さんが風邪気味の時に耳を気にしたり、聞き返しが増えたりした時は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鼻の治療(副鼻腔炎のケアなど)を並行して行うことが、改善への近道です。
監修医師:中野 貴司 川崎医科大学 小児科学特任教授、日本小児科学会 小児科専門医・指導医、日本感染症学会 感染症専門医・指導医、ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター