これって感染症?

インフルエンザの症状と予防・治療の基本ガイド

インフルエンザは、毎年多くの人がかかる身近な感染症ですが、早めの予防と適切な対応で重症化を防ぐことができます。
症状が出たときは慌てずに、医療機関の受診や家庭でのケアを落ち着いて進めましょう。

これってインフルエンザ?症状チェック

蜂のイラスト画像

インフルエンザは突然の高熱が出るのが特徴です。
風邪よりも経過が早く、高熱が出て次のような全身症状が見られます。

  • 38度以上の高熱が3~5日間続く
  • 全身のだるさ・関節や筋肉の痛み
  • 頭痛
  • せき、のどの痛み、鼻水
  • 胃腸症状(とくに子どもでは、吐き気・下痢が出ることも)

季節性インフルエンザは、日本で毎年冬(12月から3月が流行のシーズン)に流行しますが、コロナ禍以降は、春にインフルエンザで学級閉鎖があるなど、流行期に関する概念に変化が起こっており、いつでも流行する可能性があります。
症状の出方には個人差がありますが、「熱+体のつらさ」がそろったときは季節を問わずインフルエンザを疑いましょう。

潜伏期間は?登園・登校はいつから?

潜伏期間とは、ウイルスが体に入ってから、実際に症状が出るまでの期間のこと。インフルエンザの場合は、1~3日が一般的です。
「昨日家族がインフルエンザと診断された」という場合、今日〜明日あたりに自分も発症するかもしれないということになります。

インフルエンザは、発症する1日前くらいからウイルスを出し始めるといわれています。
つまり、本人が「まだ大丈夫」と思っていても、すでに周囲にうつしている可能性があります。
とくにお子さんや高齢の方がいる家庭では、誰かが発症したらすぐに、必要と考えられる感染対策を徹底しましょう。

文部科学省のガイドラインによると、発症から5日以上経っていて、かつ、解熱してから2日(幼児は3日)以上経過していることが、登校や登園の目安です。

隔離期間の考えかた 月曜に発症 → 最短で土曜からOK(でも熱が下がった日による)
金曜に解熱 → 日曜まで。幼児さんの場合は、月曜まではお休みした方が安心
※会社の場合も、医師の指示を受けてから復帰するのがベストです。

いつ受診すべき?検査方法は?

こんなときは、迷わず受診してください。

  • 高熱(38度以上)が続く
  • 呼吸が早い、苦しそう
  • 顔色が悪い、ぐったりしている
  • 水分がとれず、尿の回数が少ない
  • けいれんや意識がもうろうとする など

お子さんや高齢の方、持病がある方は、早めの受診が安心です。
「ひどい風邪かな?」「もう少し様子を見ようかな」と思っても、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。

インフルエンザの検査は、鼻の奥からぬぐい液を取って、ウイルスの有無を調べる「抗原検査」が一般的です。15分ほどで結果が出るキットを使うことが多いです。

ただし、発熱した直後など発症して短時間の時点ではウイルス量が少なく、検査で「陰性」と出ても感染している場合もあります。

医師が症状や周囲の流行状況もふまえて診断するので、「検査結果=すべて」ではないことを覚えておきましょう。

主な感染対策・予防法は?

蜂のイラスト画像

基本の感染対策・予防法 ワクチン接種 流行前の接種が重要(毎年秋〜冬に接種)

蜂のイラスト画像

手洗い・マスク飛沫感染・接触感染の予防に

適度な湿度の保持空気が乾燥すると、のどや鼻の粘膜の働きが弱まり、インフルエンザにかかりやすくなります。冬は特に乾燥しやすいので、加湿器などで湿度を50~60%に保つことが効果的です。

家庭内での注意点 家族の中で誰かが感染した場合、必要性に応じて、部屋を分ける・食事やタオルを共用しないなど、「うつさない・うつらない」工夫が必要です。
こまめな消毒(ドアノブ、スマホ、スイッチなど)も有効です。

集団生活では お子さんが通園・通学している場合は、集団生活における感染対策の規定などを再確認しましょう。

ハイリスク者を守る心がけ 妊婦さんや高齢の家族がいる家庭では、重症化のリスクがある人を守る意識も大切です。

感染症予防の基礎知識

治療方法とご家庭でのケア

蜂のイラスト画像

インフルエンザの治療では、症状や年齢、持病の有無などに応じて、体の中でウイルスが増えるのを抑える「抗インフルエンザ薬」が処方されることがあります。
これらは発症後48時間以内に使うと効果が期待できるので、早めに受診することが大切です。

ご家庭でのケアのポイント

  • こまめな水分補給と安静が大切
  • 発熱がつらいときは脇や首を冷やす
  • 子どもは高熱でも元気なら様子見でよい場合もあります。解熱剤は種類によっては子どもには向かないものもあるので、医師の指示に従ってください。

症状が急に悪化したり、呼吸が苦しそうな場合は、すぐに医療機関を受診してください。

感染症治療の基礎知識

出典:厚生労働省「インフルエンザ総合ページ」より当社作成

監修医師:中野 貴司 川崎医科大学 小児科学特任教授、日本小児科学会 小児科専門医・指導医、日本感染症学会 感染症専門医・指導医、ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター

これって感染症? インフルエンザの症状と予防・治療の基本ガイド