パーキンソン病治療剤サフィナミド 日本において製造販売承認申請

2018年10月23日 プレスリリース

Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:小林大吉郎、以下 Meiji)およびエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、パーキンソン病に係る適応で開発を進めてきたME2125(開発コード、一般名:サフィナミドメシル酸塩、以下 サフィナミド)について、日本における製造販売承認申請を本日、Meijiが行いましたのでお知らせします。

本申請は、国内において実施された、レボドパ製剤を併用中のウェアリング・オフ現象*1を有する日本人パーキンソン病患者を対象に、サフィナミドの有効性および安全性をプラセボと比較した二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験、ならびに長期投与したときの安全性および有効性を評価した非盲検第Ⅲ相試験等の成績に基づいています。

なお、2017年3月に両社間で締結したライセンス契約に基づき、日本におけるサフィナミドの独占的販売権とアジア*2における独占的開発・販売権をエーザイが保有します。日本においてはMeijiが臨床試験を継続実施し、製造販売承認申請を行いました。また、アジアにおいてはエーザイが製造販売承認申請等を行います。

エーザイとMeijiは、サフィナミドの開発を通じて、日本およびアジアにおけるパーキンソン病患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上

  • *1ウェアリング・オフ現象:病気の進行に伴い、レボドパの効果持続時間(オン時間)が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れること
  • *2韓国、台湾、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、香港、マカオ

参考

  1. サフィナミドメシル酸塩(一般名、開発コード:ME2125)について
    サフィナミドは、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、分泌されたドパミンの分解を抑制してドパミンの脳内濃度維持を助けます。また、ナトリウムイオンチャネル阻害作用を介したグルタミン酸放出抑制作用を有することから、同剤は、ドパミン作動性作用と非ドパミン作動性作用を併せもつ新たなパーキンソン病治療剤として期待されています。海外で実施された進行期パーキンソン病患者様を対象としたレボドパ併用下での臨床試験では、オン時間の延長や運動機能の改善が確認されています1,2
    サフィナミドは、Newron Pharmaceuticals S.p.A.(本社:イタリア、ミラノ)が創製・開発し、2011年にMeijiとの間で日本およびアジアにおける独占的な開発、製造および販売に関するライセンスについて合意しています。サフィナミドは、Xadagoの製品名で、欧州・米国など15カ国で販売されています。
  2. 第Ⅱ/Ⅲ相試験(ME2125-3試験)について
    ME2125-3試験は、国内で実施した、レボドパ製剤を併用中のウェアリング・オフ現象を有する日本人パーキンソン病患者様を対象に、サフィナミド50mgまたは100mgを1日1回24週間経口投与したときの有効性および安全性をプラセボと比較した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検並行群間比較試験です。主要評価項目は、24週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量とし、サフィナミド各投与量群のプラセボ群に対する優越性を検証しました。
  3. 第Ⅲ相試験(ME2125-4試験)について
    ME2125-4試験は、国内で実施した、レボドパ製剤を併用中のウェアリング・オフ現象を有する日本人パーキンソン病患者様を対象に、サフィナミド50mgまたは100mgを1日1回長期(52週間)経口投与したときの安全性および有効性を評価した、多施設共同の非盲検試験です。本試験ではサフィナミドの長期投与における安全性を評価するとともに、有効性に関する主要評価項目として、52週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量を評価しました。
  4. パーキンソン病について
    パーキンソン病は、ドパミン神経系の変性・脱落により、脳内の神経伝達物質であるドパミンが減少することで、手足の震え、筋肉の固縮、小刻みな歩行などの運動障害を生じる神経変性疾患です。厚生労働省の調査によると、2014年における国内のパーキンソン病患者数は16万3000人でした3。アジア(中国、インドを除く)における患者数は約30万人と推定されています(エーザイ推計)。高齢化に伴い、患者数は年々増加する傾向にあります4。パーキンソン病治療剤としては、脳内で不足したドパミンを補うレボドパが広く利用されます。しかし病気の進行に伴い、レボドパの効果持続時間が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れることがあります(ウェアリング・オフ現象)。ウェアリング・オフ現象の改善には、レボドパと異なる作用機序の薬剤が併用されます。
  5. エーザイ株式会社について
    エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「がん」「神経領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。 当社はグローバル製薬企業として世界の患者様へ貢献することを使命としており、開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。エーザイ株式会社の詳細情報は、をご覧ください。
  • 1Borgohain R et al. Randomized Trial of Safinamide Add-On to Levodopa in Parkinson's Disease With Motor Fluctuations. Mov Disord. 2014 Feb;29(2):229-37
  • 2Schapira AH et al. Assessment of Safety and Efficacy of Safinamide as a Levodopa Adjunct in Patients With Parkinson Disease and Motor Fluctuations: A Randomized Clinical Trial. JAMA Neurol. 2017 Feb 1;74(2):216-224
  • 3平成26年患者調査(疾病分類編)厚生労働省大臣官房統計情報部
  • 4難病情報センター