国立大学法人京都大学とMeiji Seika ファルマ株式会社 新たながん免疫複合療法の開発を目的とした「がん免疫PDT研究講座」における共同研究に関するお知らせ

2022年10月13日 プレスリリース

国立大学法人京都大学(所在地:京都市左京区、総長:湊 長博、以下京都大学)とMeiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林大吉郎、以下Meiji)は京都大学 本庶佑先生の功績から生まれた免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と患者負担が少なく、治療効果が高い治療法として一定の評価を既に得ているMeijiの「レザフィリン®」を用いた光線力学的療法(PDT)の長所を活かした組み合わせで日本発の全く新しいがん免疫複合療法の研究を行います。

2021年11月、京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター内に「がん免疫PDT研究講座」(研究統括:本庶佑 特別教授、臨床研究統括:武藤学 教授)を開設し共同研究を進めております。

本講座では、既に承認されている免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と「レザフィリン®」を用いた光線力学的療法(PDT)の治療技術を組み合わせる新たな着想により、それぞれ単独の療法よりも高い効果を示す可能性のある新しいがん免疫複合療法の開発を行います。京都大学で行われた動物実験データからは、放射線照射で認められるアブスコパル効果(遠達効果)がPDTでも確認されるとともに、ICIの効果が増強されることも確認されました。今後、前臨床研究を進めるとともに、年度内には医師主導治験を開始してヒトでの効果を確認していきます。

京都大学とMeijiは、本研究を通じて、ICIとPDTの組み合わせにより新たながん治療法を開発し、がんで苦しむ患者さんのQOLを向上させる新たな治療選択肢を提供します。また、単独の療法よりも多くの症例に効果を示すがん免疫PDTの開発を通じて、がん治療の地平を拓き、日本発の低侵襲な新規がん免疫複合療法を確立することを目指していきます。

■本研究講座の概要

研究目的:
ICIとPDTの組み合わせにより治療成績を向上させる新たながん免疫複合療法の開発
研究開発内容:
ICIとPDTの組み合わせによるがん免疫療法の増強効果の可能性を検討
研究実施場所:
京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター及び京都大学医学部附属病院
研究開発期間:
2021年11月から5年間を予定

以上

参考

免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitor:ICI)

免疫抑制シグナルの伝達を阻害することでT細胞の活性化抑制を解除する薬剤で、さまざまながん種の治療に用いられています。

光線力学的療法(Photodynamic Therapy:PDT)

腫瘍親和性のある光感受性物質「レザフィリン®」を投与した後、腫瘍組織にレーザ光を照射することにより光化学反応を引き起こし、腫瘍組織を変性壊死させる選択的治療法です。局所療法であるため患者負担が少なく、治療効果が高いのが特長です。Meijiは光感受性物質「レザフィリン®」と治療装置「PDレーザ」及び「PDレーザBT」を販売しています。

▲注射用レザフィリン®100mg
▲PDレーザ

アブスコパル効果

放射線照射によって放射線照射野以外の病変の縮小効果が認められること。抗腫瘍免疫が活性化し、照射部位以外の遠隔部位の腫瘍も攻撃を受け、縮小すること。