化学療法や造血幹細胞移植による治療は、免疫力が低下する患者さんを細菌・真菌(カビ)やウイルスなどの感染症から守るため、清潔な空気で管理された無菌病棟・無菌室(防護環境)で行われます。特に造血幹細胞移植の前後は、無菌病棟の中でもさらに厳しい基準で管理された専用の個室(移植病室)で過ごすことになります。
病室は廊下に対して陽圧に保たれ、外から細菌やウイルスなどが侵入したり、循環したりしないよう管理されています。また、特殊なフィルターの入った空調システムで1時間に12回以上換気を行い、汚染された空気が循環しないように保たれています。
![]() 移植用個室 |
![]() 無菌病棟のデイルーム、トレーニング設備 |
患者さんは外へ出ることを制限されますが、病院によっては無菌病棟内で自由に移動して過ごすことができる場合もあります。ご家族などの面会には制限があり、例えば、感染の徴候が見られる人や生ワクチン接種後まもない人は入室が制限されます。また、ドライフラワーも含め、植物を持ち込むことはできません。
移植を受けた患者さんは、免疫機能や正常な血球を造り出す機能が順調に回復すれば、一般病棟へ移ることができます。また、自家造血幹細胞移植では、無菌病棟・無菌室には入らず、一般病棟で治療を行うこともあります。
一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会(2024年5月1日アクセス)
https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=18
一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植ガイドライン 造血細胞移植後の感染管理 第4版(2024年5月1日アクセス)
https://www.jstct.or.jp/uploads/files/guideline/01_01_kansenkanri_ver04.pdf