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感染症

移植前処置から輸注、生着に至るまでの経過では、患者さんの体の中の白血球は極端に減少し、細菌やウイルスなどに対する免疫力はほぼゼロになります。また、生着後もしばらくは白血球の機能は十分ではありません。さらに、移植後の合併症対策のため、免疫力を抑える治療(免疫抑制薬やステロイド薬など)が行われることがあります。
造血幹細胞移植の経過を通じて、感染症に対する予防、対策、治療は非常に重要です。

感染症の原因

呼吸や直接の接触などを通じて、体の中に侵入してくる細菌、真菌(カビ)、ウイルスが感染症の原因になります。また、口腔内や腸管、肺の中など患者さんの体の中にもともと存在し、通常の免疫状態では活動が抑えられている細菌、真菌(カビ)、ウイルスが活発化して、感染症をおこすこともあります。
代表的なものに、カンジダ(真菌)、重篤な肺炎をおこすことがあるアスペルギルス(真菌)やニューモシスチス・イロベチイ(真菌)、皮膚ブドウ球菌(細菌)、大腸菌(細菌)、緑膿菌(細菌)などによる肺炎や敗血症、肝炎をおこすことがあるサイトメガロウイルス(CMV)などがあります。

予防と対策

無菌病棟・無菌室(防護環境)で過ごすことになりますが、手洗い、うがい、消毒、シャワーなどで体を清潔にするよう徹底しましょう。排便後は肛門や陰部を清潔にしましょう。
口の中の細菌が感染症の原因になることがありますので、口腔ケアも意識的に行いましょう。
アスペルギルスはほこりや土の中に含まれることが多く、ドライフラワーも含め植物の持ち込みは厳禁です。病棟のルールに従ってください。その他、予防的に抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬を投与(内服や点滴)することがあります。

治療

感染症が疑われる場合、早めの治療が重要となります。検査などで感染症の原因を確定する前から抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬による治療を行うことがあります。

参考:

国立がん研究センター:がん情報サービス(2024年5月1日アクセス)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct03.html

一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会(2024年5月1日アクセス)
https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=49