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造血幹細胞移植とその前後の治療、入院等にかかる費用

造血幹細胞移植を行うにあたっては、経済的負担について知っておくことはとても重要です。造血幹細胞移植に伴う医療費は、移植術費用に加え、入院費、検査費、薬剤費などがかかり、その金額は患者さん個々の病状や入院期間により異なります。健康保険の対象となる医療費が3割負担でも、かなりの金額になってしまいます。治療を受けるにあたって、通院や治療、治療後の療養生活を経済的に支える支援制度を知っておくことはとても大切です。

移植にかかる費用(総医療費の場合)

造血幹細胞移植の費用は、患者さんの状態やどのようなドナーから移植を受けるかによって大きく変わってきますが、移植を受けた月の医療費は400万~600万円、その後数ヵ月間は月に200万~400万円程度かかることがあります。造血幹細胞移植には高額療養費制度が適応されるとはいえ、患者さんの負担額はかなりの額になってしまいます。

骨髄バンクの利用にかかる費用

バンクドナーの骨髄、末梢血から採取された造血幹細胞を用いた同種造血幹細胞移植を行う場合には、患者さんが骨髄バンクに登録し、ドナー候補者の選択・提供ドナーの決定・移植日程の調整など、さまざまな手続きが必要となります。
国内の骨髄バンク(公益財団法人日本骨髄バンク)を介しての移植を希望する場合、コーディネートの各段階に応じて以下のような検査料や手数料がかかります。

表1 患者負担金

負担金項目 金額 備考
1 患者HLA確認検査料 負担なし 患者登録後直ちに実装(NGS-SBT法 11 座)
2 一般血液検査(ドナースクリーニング検査)料 5,000円 ドナー候補者1名ごと
3 ドナー確認検査手数料 3,000円 ドナー候補者1名ごと
4 最終同意等調整料 41,000円 登録中に1回限り
5 ドナー団体傷害保険料 25,000円
6 採取・フォローアップ調整料 49,000円
7 オプション検査料 44,000円 患者・主治医の希望により行う検査

※各料金は変更することがありますので、最新情報は下記出典をご確認ください。

出典:公益財団法人日本骨髄バンク 患者負担金(2025年3月15日アクセス)
https://www.jmdp.or.jp/recipient/cost/share.html

骨髄バンクの場合、移植の際には患者さんとドナーのヒト白血球抗原(HLA:Human Leukocyte Antigen)型を一致させなければいけませんが、HLA型を調べる際には、精度が高いタイピング法(NGSm-SBT法)による確認検査を行います。本来は44,000円かかる検査ですが、全額を日本骨髄バンクが負担しています。ただし、過去に移植を行ったことのある患者さん、白血球数が少ない患者さん、HLA型の判定が困難であった場合の再検査を行う患者さんなどは、自己負担で別途費用がかかる場合があります 。また、一般血液検査(ドナースクリーニング検査)料やドナー確認検査手数料は、検査を行うドナーの人数により金額が変わります。
最終同意等調整料には、選定ドナーの最終同意を確認するための連絡や、移植前のドナーの健康診断や前処置などに要する調整の費用などが含まれます。また、ドナーが万が一にも採取に伴う事故に遭った場合に備えてドナー団体傷害保険料を支払います。さらに、ドナーの健康状態のフォローアップに要する費用として、採取・フォローアップ調整料を支払います。なお、ドナーの最終同意が確認された時点で表1の4~6の費用を一括で支払いますが、最終同意確認後であってもドナーの健康診断結果や、やむを得ない事情により移植に至らない場合には5、6の費用は返金されます。加えて、ドナーが入院する際に差額ベッド代などが生じた場合には、患者さんの負担が増えることがあります。
経済的に困っている患者さんでは、世帯収入などによって患者負担金の全部または一部が免除される可能性があります。詳しくは造血細胞移植コーディネーター(HCTC)や骨髄バンクにお尋ねください。

公的さい帯血バンクの利用にかかる費用

さい帯血バンクを利用する際には、骨髄バンクを利用する際に発生するコーディネートの患者負担金はありませんが、追加の検査料金等が必要になる場合もありますので、詳しくは造血細胞移植コーディネーター等にお尋ねください。

なお、骨髄液や末梢血幹細胞、さい帯血の運搬にかかる費用は、健康保険等の療養費払いの対象になります。いったん支払った後に、健康保険等に申請すると後日返金される仕組みです。申請方法などは、ご加入している健康保険組合等にお問い合わせください。

参考:

公益財団法人日本骨髄バンク(2025年3月15日アクセス)
https://www.jmdp.or.jp/