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移植前処置の副作用

移植前処置の化学療法や全身放射線照射の影響による副作用があります。早ければ移植前処置の開始直後からあらわれる症状もありますが、中には移植後数年たってから顕在化することもあります。後期・晩期の副作用は、前処置のみが原因であると断定しにくいものもあり、複合的な要素が絡み合って発症することもあります。

移植前処置の最中から生じる・もしくは対応が必要なことがある副作用

吐き気や嘔吐、食欲低下

移植前処置の影響で、吐き気や嘔吐、食欲低下が引きおこされることがあります。吐き気があるとき、食事は無理をせずに食べられるものを少しずつ食べるようにしましょう。メニューを工夫することで症状をやわらげることもできます。また、吐き気を抑える薬もありますので、医療スタッフに相談しましょう。

皮膚障害(炎症・かゆみ)

放射線照射によって、皮膚がひりひりする、赤くなる、皮がむけるといった皮膚障害があらわれることがあります。予防のために保湿用の軟膏を使用します。
また、前処置で使用する抗がん剤の種類によっては、皮疹やかゆみがあらわれることがあり、投与前にステロイド薬を使用します。

心臓への影響

抗がん剤の種類によっては、不整脈など心臓に副作用があらわれるものがあるため、投与する前から心電図モニターを装着し、心臓の状態を観察しながら投与します。
動悸や胸の不快感、胸苦しさを感じたら、すぐに医療スタッフに伝えるようにしましょう。

腎機能障害

抗がん剤の種類によっては、腎機能障害があらわれることがあります。予防のため、治療前から水分をこまめに摂取し、治療の前後で定期的に腎機能をチェックします。治療後に、尿が出にくくなったり、尿量が少なくなったり、身体のむくみや体重増加が見られたりする場合は注意が必要です。医療スタッフに伝えるようにしましょう。

移植前処置後、数日~数週程度までの間に生じる可能性のある副作用

骨髄抑制

化学療法や全身放射線照射によって、白血球、赤血球、血小板が極端に少ない状態(骨髄のはたらきが低下していることから「骨髄抑制」とよばれます)になります。骨髄抑制では下記のような症状があらわれます。

口腔内の粘膜障害

移植前処置の影響で、口内炎やのどの痛みがあらわれることがあります。また、痛みで食事をとるのも難しくなることがあります。痛みが強い場合は、鎮痛薬を使うこともありますので、医療スタッフに相談しましょう。

味覚異常

味覚を感じなくなったり、味覚やにおいに変化を感じたりすることがあります。それが食欲低下につながることもあります。さまざまな種類の食べ物を試したり、食事の味付けを工夫したりしてなるべく食べる量を維持しましょう。

脱毛

移植前処置の影響から、移植後約10日で徐々に全身の毛が抜け落ちてきます。個人差はありますが、数ヵ月後には毛が再び生えはじめ、髪の毛も徐々に生えそろってきます。髪が抜けた頭皮は刺激に弱く傷つきやすいため、帽子やバンダナで頭皮を保護しましょう。最近は、頭皮に優しい素材でできた帽子やウィッグもありますので、病院の売店やインターネットで探してみてください。

参考:

国立がん研究センター:がん情報サービス(2024年5月1日アクセス)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct03.html

一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会(2024年5月1日アクセス)
https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=16
https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=49

国立がん研究センター中央病院12B病棟 同種造血幹細胞移植療法を受けられる方へ(2024年5月1日アクセス)
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/stem_cell_transplantation/Allo.pdf